はじめに
暗号資産(仮想通貨)への関心がますます高まる中、「どの取引所で口座開設すべきか?」は投資家にとって最初の重要な選択です。特に、取引できる暗号資産の種類(取扱銘柄数)は、投資の選択肢やチャンスの幅に直結します。
この記事では、最新情報(2025年5月時点)に基づき、日本国内の主要な暗号資産取引所を取扱銘柄数の観点から徹底比較します。さらに、手数料、セキュリティ、使いやすさといった重要な選定ポイントも網羅し、初心者から経験者まで、ご自身の投資スタイルに最適な取引所を見つけるためのお手伝いをします。
この記事でわかること
- 暗号資産取引所の基本的な役割
- 取扱銘柄数が多いことのメリット・デメリット
- 【2025年最新】取扱銘柄数が多い国内取引所ランキングと比較
- 手数料・セキュリティ・使いやすさなど、取引所選びの重要ポイント
- 初心者におすすめの取引所と経験者向けの取引所の特徴
- 今後の暗号資産市場と取引所の展望
1. 暗号資産取引所とは?
暗号資産取引所は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとする様々な暗号資産を売買できるプラットフォームです。株式でいう証券取引所のような役割を担い、個人や法人が暗号資産取引を行うための市場を提供します。
日本国内には金融庁の認可を受けた複数の取引所が存在し、それぞれが独自の強みを持っています。主な違いは以下の点です。
- 取扱銘柄数: 取引できる暗号資産の種類。
- 手数料: 取引時や入出金時にかかるコスト(取引手数料、スプレッド、入出金手数料など)。
- セキュリティ対策: 顧客資産を守るための技術や体制(二段階認証、コールドウォレット管理、損害補償など)。
- 提供サービス: 現物取引以外に、レバレッジ取引、ステーキング、レンディング、NFTマーケットプレイスなど。
- 使いやすさ: 取引ツールやスマホアプリの操作性、カスタマーサポートの質。
2. なぜ取扱銘柄数が重要なのか?
取扱銘柄数が多い取引所を選ぶことには、以下のようなメリットがあります。
- 多様な投資機会: ビットコインやイーサリアムといった主要銘柄だけでなく、将来性が期待されるアルトコインや、特定の分野(DeFi, NFT, メタバースなど)に関連するトークンにも投資できます。
- 分散投資によるリスク軽減: 複数の銘柄に資金を分散させることで、特定の銘柄の価格変動による影響を抑え、ポートフォリオ全体のリスクを管理しやすくなります。
- 新規上場銘柄への早期アクセス: 新しく有望なプロジェクトのトークンが上場する際に、いち早く投資できる可能性があります。初期段階での投資は大きなリターンにつながることもあります。
- 投資戦略の柔軟性: 豊富な選択肢の中から、ご自身の投資目標やリスク許容度に合った銘柄を選び、柔軟な運用戦略を立てることが可能です。
3. 日本国内の暗号資産取引所の現状(2025年)
3.1 市場の成長と変化
日本の暗号資産市場は、依然として成長を続けています。個人投資家だけでなく、機関投資家や事業会社の参入も増えています。NFTやメタバースへの関心は一時期の熱狂から落ち着きを見せつつも、Web3.0という大きな潮流の中で、ブロックチェーン技術の実社会への応用が進んでいます。
3.2 金融庁の規制と市場の健全性
日本の暗号資産取引所は、金融庁の厳格な規制(暗号資産交換業者の登録制)の下で運営されています。これにより、顧客資産の分別管理やセキュリティ対策が義務付けられ、利用者は比較的安心して取引できる環境が整備されています。
一方で、新規銘柄の上場審査は慎重に行われる傾向がありましたが、近年は自主規制団体(JVCEA)のルール見直しなどもあり、以前に比べて多様な銘柄が上場しやすくなる動きも見られます。ただし、海外取引所と比較すると、依然として銘柄数は限定的です。
4. 暗号資産取引所を選ぶ重要ポイント
取扱銘柄数以外にも、以下の点を総合的に比較検討することが重要です。
4.1 取扱銘柄数と種類
- 単に数が多いだけでなく、自分が投資したい銘柄(主要銘柄、アルトコイン、特定のテーマを持つ銘柄など)を取り扱っているかを確認しましょう。
- 取引所形式(ユーザー同士で売買)と販売所形式(取引所を相手に売買)のどちらで扱っているかも重要です。(一般的に取引所形式の方がコストを抑えられます)
4.2 各種手数料
- 取引手数料: メイカー(注文を出す側)とテイカー(注文を受ける側)で手数料が異なる場合があります。無料の取引所もありますが、スプレッドに注意が必要です。
- スプレッド: 販売所形式での売値と買値の差額。実質的な取引コストであり、見えない手数料とも言えます。特に頻繁に売買する方は狭い方が有利です。
- 入出金手数料: 日本円や暗号資産の入出金にかかる手数料。無料の取引所も多いですが、条件がある場合もあります。
4.3 セキュリティ対策
- 二段階認証: 不正ログインを防ぐ基本的な対策。必須と考えましょう。
- コールドウォレット管理: インターネットから隔離された環境で顧客資産の大部分を保管する方法。ハッキングリスクを低減します。
- 資産の分別管理: 取引所の資産と顧客の資産を分けて管理することが法律で義務付けられています。
- 損害補償制度: 万が一ハッキング被害等にあった場合の補償体制。
4.4 使いやすさとツール
- 取引画面/アプリ: 直感的で分かりやすいか、チャート機能は充実しているか、注文方法は多様かなどを確認します。特に初心者の方は、シンプルな操作性のものを選ぶと良いでしょう。
- スマホアプリ: 外出先でも取引や情報収集ができるか、アプリの機能性や安定性も重要です。
- カスタマーサポート: 日本語での問い合わせに対応しているか、対応時間はどうか、FAQは充実しているかなどを確認します。
4.5 付加サービス
- レバレッジ取引: 証拠金を預けて、それ以上の金額の取引が可能(ハイリスク・ハイリターン)。
- ステーキング/レンディング: 保有している暗号資産を預けて報酬を得る仕組み。
- IEO (Initial Exchange Offering): 取引所が審査した新規プロジェクトのトークン販売。
- NFTマーケットプレイス: NFTを売買できるプラットフォーム。
5. 取扱銘柄数が豊富な国内暗号資産取引所 TOP5(2025年5月版)
※取扱銘柄数は常に変動するため、最新の情報は各取引所の公式サイトをご確認ください。以下は調査時点での目安です。
順位 | 取引所名 | 取扱銘柄数(目安) | 特徴・メリット | デメリット・注意点 |
---|---|---|---|---|
1 | GMOコイン | 26銘柄前後 | 国内最多クラスの銘柄数。取引所形式の手数料が安い(一部無料)。ステーキングサービスも充実。スマホアプリも高機能。 | 販売所のスプレッドは広め。レバレッジ取引は上級者向け。 |
2 | bitbank | 30銘柄前後 | アルトコインの取引量が多く、板取引が活発。取引所形式の手数料が安い(マイナス手数料あり)。セキュリティ評価が高い。 | スマホアプリはシンプルで、初心者にはやや機能が多いと感じる可能性も。販売所はなし。 |
3 | Coincheck | 29銘柄前後 | 初心者向けでアプリが直感的。NFTマーケットプレイス併設。IEO実績あり。500円から積立可能。 | 販売所のスプレッドが広め。取引所形式の取扱銘柄は少ない。 |
4 | bitFlyer | 22銘柄前後 | 国内最大手で信頼性が高い。ビットコイン取引量国内No.1。セキュリティ体制に定評。高機能取引ツールあり。 | アルトコインの取扱いは他社に比べるとやや少なめ。 |
5 | SBI VCトレード | 23銘柄前後 | SBIグループの安心感。各種手数料が無料。ステーキング銘柄が豊富。 | アプリの使い勝手は好みが分かれる可能性あり。取引量は他大手と比較すると少ない場合も。 |
(参考)その他の注目取引所
- 楽天ウォレット: 楽天ポイントで暗号資産を購入可能。楽天ユーザーに便利。取扱銘柄数は多くない。
- DMM Bitcoin: レバレッジ取引の銘柄数が豊富。現物取引も可能だが、販売所形式のみ。
- Huobi Japan: グローバルな取引所の日本法人。独自トークンや多様な銘柄を取り扱う。
6. 主要取引所の詳細比較
6.1 GMOコイン
- 強み: 豊富な取扱銘柄数、取引所形式での低コスト取引(一部無料)、ステーキング対象銘柄の多さ、即時入金・暗号資産出金手数料無料(一部)。
- 向いている人: 幅広い銘柄に投資したい人、コストを抑えたいアクティブトレーダー、ステーキングに興味がある人。
6.2 bitbank (ビットバンク)
- 強み: アルトコインの流動性の高さ(板取引が活発)、取引所形式の手数料の安さ(メイカーは報酬あり)、強固なセキュリティ。
- 向いている人: アルトコインの板取引をメインに行いたい人、セキュリティを最重視する人、中〜上級トレーダー。
6.3 Coincheck (コインチェック)
- 強み: 圧倒的なアプリの使いやすさ、初心者向けの分かりやすいインターフェース、NFT取引も可能、IEOへの参加チャンス。
- 向いている人: 暗号資産取引が初めての人、難しい操作は避けたい人、NFTに興味がある人、少額から始めたい人。
6.4 bitFlyer (ビットフライヤー)
- 強み: 長年の運営実績と高い信頼性、強固なセキュリティ(ハッキング被害ゼロ)、ビットコイン取引量の多さ、高機能な取引ツール「bitFlyer Lightning」。
- 向いている人: 安全性を最優先したい人、ビットコインを中心に取引したい人、高機能ツールを使いたい経験者。
6.5 SBI VCトレード
- 強み: SBIグループの信頼性、各種手数料(入出金、取引)が無料、豊富なステーキングサービス。
- 向いている人: コストを徹底的に抑えたい人、ステーキングで長期保有したい人、SBIグループのサービスをよく利用する人。
7. 取扱銘柄数が多い取引所のメリット(再確認)
- 多様な投資機会(アルトコイン、テーマ別トークンなど)
- 分散投資によるリスク管理の容易さ
- 将来有望な新規上場銘柄への早期投資チャンス
8. 注意すべきポイント:取扱銘柄数が多い取引所のデメリット
- 管理の複雑化: 多数の銘柄を保有すると、値動きの把握やポートフォリオ管理が煩雑になる可能性があります。
- 流動性の低い銘柄: マイナーな銘柄は取引量が少なく、希望価格で売買できない(スリッページが発生する)リスクがあります。
- 情報収集の負担: 各銘柄のプロジェクト内容や将来性を自身で調査・判断する必要があり、情報収集の負担が増えます。
- 玉石混交のリスク: 必ずしも全ての銘柄が有望とは限りません。知識がないまま投資すると、価値のない銘柄を選んでしまうリスクもあります。
9. 日本の取引所 vs 海外取引所
- 海外取引所: 取扱銘柄数が圧倒的に多い(数百〜数千種類)、手数料が安い傾向、先進的なサービス(デリバティブなど)が豊富。
- 注意点: 日本居住者向けのサービス停止リスク、金融庁の認可がなく法的保護が弱い、日本語サポートがない場合が多い、税務計算が複雑になる可能性。
- 日本の取引所: 金融庁認可による安全性と信頼性、顧客資産の分別管理と補償、日本語サポート、日本円での直接入出金が可能。
- 注意点: 海外に比べ取扱銘柄数が少ない、手数料が比較的高め、レバレッジ倍率などに制限がある。
初心者の方や、法的な安全性を重視する方は、まず日本の金融庁認可取引所を利用することを強く推奨します。
10. 暗号資産取引所の今後の展望
- 取扱銘柄数の増加: 規制緩和の流れを受け、国内取引所でもさらに多様な銘柄が上場される可能性があります。特に、Web3.0関連プロジェクトのトークンに注目が集まるでしょう。
- サービスの多様化: ステーキングやレンディングの普及、セキュリティトークン(デジタル証券)の取り扱い、決済分野への活用などが進むと考えられます。
- 大手企業の参入と連携: 異業種からの参入や、既存金融機関との連携により、より利便性の高いサービスが登場する可能性があります。
- 規制の進化: 国際的な動向(例: MiCA)も踏まえ、投資家保護とイノベーション促進のバランスを取りながら、規制環境も変化していくでしょう。
11. まとめ:あなたに最適な取引所の選び方
暗号資産取引所選びは、投資戦略の成功を左右する重要なステップです。
- 取扱銘柄数を最重視するなら: GMOコイン や bitbank が有力候補です。幅広い選択肢から投資先を選べます。
- 使いやすさ・初心者向けなら: Coincheck が直感的な操作で始めやすいでしょう。
- 信頼性・セキュリティ重視なら: bitFlyer や SBI VCトレード (SBIグループ) が安心感があります。
- コストを抑えたいなら: GMOコイン、bitbank、SBI VCトレード の手数料体系を比較検討しましょう。
- 特定のサービス(NFT、ステーキング、ポイント利用)に興味があるなら: Coincheck (NFT)、GMOコイン・SBI VCトレード (ステーキング)、楽天ウォレット (ポイント) が選択肢に入ります。
最終的には、1つの取引所に絞るのではなく、複数の取引所の口座を開設し、それぞれの強み(取扱銘柄、手数料、ツールなど)を活かして使い分けるのがおすすめです。 多くの取引所は口座開設・維持手数料が無料ですので、まずは気になる取引所の口座を開設し、実際に使用感を試してみてはいかがでしょうか。
よくある質問 (FAQs)
- Q1: 日本で一番多くの暗号資産を扱っているのはどこ?
- A1: 2025年5月現在、bitbank や Coincheck が約30銘柄、GMOコイン が約26銘柄と、トップクラスの取扱数となっています。ただし、数は常に変動するため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
- Q2: 初心者におすすめの取引所は?
- A2: Coincheck は、スマホアプリの使いやすさやシンプルな画面構成から、初心者の方に特に人気があります。少額からの積立投資も可能です。
- Q3: 手数料が安い取引所は?
- A3: 取引所形式での取引手数料を重視するなら、GMOコイン (一部無料)、bitbank (マイナス手数料あり)、SBI VCトレード (無料) が有利です。ただし、販売所のスプレッドや入出金手数料も考慮しましょう。
- Q4: 取扱銘柄が多いことのデメリットは?
- A4: 管理が複雑になる、流動性の低い銘柄を選んでしまうリスクがある、情報収集の負担が増える、価値の低い銘柄に投資してしまうリスクがある、といった点が挙げられます。
- Q5: 取引所を選ぶ上で最も重要なポイントは?
- A5: 一概には言えませんが、①安全性・信頼性(金融庁認可、セキュリティ対策)、②取扱銘柄数と種類、③各種手数料(取引手数料、スプレッド)、④使いやすさ(アプリ、ツール)、⑤自身の投資スタイルとの合致 を総合的に判断することが重要です。
- Q6: 暗号資産の税金はどうなりますか?
- A6: 日本では、暗号資産の売却益や交換益、ステーキング報酬などは原則として「雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。年間の利益額によっては確定申告が必要です。詳細は国税庁のウェブサイトや税理士にご確認ください。
コメント